殺意
 




「辛いなら殺せばいい」
「何だ、お前は人の心が読めるのか?」
俺の部屋で勝手にピザをほおばるその女は、何の前触れも無くそう言 った。
「お前の事だ、どうせあの男の事で悩んでいるのだろう」
「だからどうした」
「親切に忠告してやっている人に対して、何だその態度は」
「お前のどこをどう見れば親切なんだ」
「答えを出してやっているだろう」
親切に、とC.C.は再度強調する。
「考えるのが辛いなら、殺せばいいんだ。いつか、お前の目的の邪魔に なるぞ」
「罪の無い人間を殺せるか」

「殺してきただろう、大勢。いまさら善人を気取るつもりか?それともあ の男は特別なのか?」

そうだった。確かに、俺は人殺しだ。
「そんなつもりは無い」
この手は、確かに引き金を引いてきた。
「解っていいるなら良い。ただ――」
「何だ」

「その前に、お前の心が殺されるぞ」

今さら何を言うんだ。
俺は、とっくの昔に死んでいる。

「お前に死なれると困るんだ」そう言い放ち、女は部屋を出て行った。 
 









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