兄さん。 兄さんは嘘吐きだよね。 いつもそうだった。 僕がロケットをなくしたときは、「徹夜で勉強だ」なんて言って、本当は寝ないで探してくれてたんだよね。 僕が風邪を引いたときは「自習だったから」とか言ってサボって看病してくれたし、 いつだって兄さんは優しかったけど、優しいって思われるのが苦手であったよね。 わかってたよ。ナナリーの代わりにもなれなかったって事くらい。 わかってたよ。 でも、いつも笑顔で僕に話しかけてくれる兄さんは、そのときだけ僕のものだったから。 だからね、兄さん。 僕は後悔しないよ。 一時でもルルーシュ・ランペルージの弟でいられて、兄さんを助けられて。 殺すことしかできない僕を、人間にしてくれたのは兄さんだったから。 だからね、大嫌いだって言われても、僕は微笑んで「うん、そうだね」って言い返すよ。 嘘吐きな兄さんが、その嘘ごと大好きだったから。戻る