寒い。 コンラートは呟いた。 夏のこの湿った暑さの中で、そう思っているのは自分だけかもしれない・・・と。 指先だけが妙に冷たさで痺れていて、氷に触った後のふやけた手が其処にある。 暑いからと氷水にさらした手は、思いのほか冷えた。 そもそも此処は夜になると急激に冷えるのだ。 慌てて冷やさなくても良かったんだ。 だけど、 こもった熱は確かに冷たさを求めて。 まるで酸素を求める、葉緑体。 蜜を求める、蝶。 『栄養』 俺のそれは何だったっけ? ふやけた皮が剥けた。 蝶の羽。 ひらひら。 冷えすぎて泣いてる。
戻る