母親と手を繋いで公園を散歩している自分が 一番最初の記憶している昔だったりする。 人に触れるために指を伸ばすのが普通だと思っていた昔、 頭を撫でられるのも、人と手を繋ぐのも嬉しかった。 それが嬉しくなくなったのはある日。 成長して、指先が躰のどの部分よりも人の感情を伝えるものだと 気付いたときだ。 時に歓喜、威嚇、悲哀。 そして愛情表現。 生まれたてのおれだってきっと、素直に喜んでいたはずだろうに、 今となっては相手を選ぶようになったわけで。 色んな人に触れて、一番その人がわかるのが"指"だとわかってしまったから、 軽々しく触れられなくなってしまったのだ。 だけどあの日。 馬上から笑顔を見せる「その人」の指には何故か心ひかれて、 躊躇う間もなく掴んだのを覚えてる。 何故だろう。 触れてみたいと思う。泪がでそうなほどあたたかいと思う。 とりあえず、 久しぶりに触れたせいだと思うことにするよ。 ――――あぁ、また呼んでる。
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