最期にお茶をした時の、『あの人』の言葉を思い出す。

「ねぇ、人って、いつかは生まれ変わるものだと思わない?」
ジュリアはそう言って、紅茶を口にする。
「何故、そんなことを?」と私は尋ね、彼女は絶やすことの無い笑みを浮かべて言った。

「人は、自分の居るべき場所があるから。たとえ死んでも、また其処に戻ってこれるんじゃないかって・・・そう思ったの」
「・・・何で?」


「私が此処に戻ってきたいから」


庭に咲き誇る、優しい白の花弁は舞い。
彼女の双眸に映えて、鮮やかに、散る。

「戻ってきて、あなたがどんな風に笑うのか、見てみたいと思ったの。ギーゼラ」

花盛りの庭で、ジュリアは本当は何を思ったのか・・・。


そのときは知りもしなかった。

(ねぇ、ジュリア。あなたは何で何も言わないの)

そんなの解っている。
あなたはただ、優しいだけ。








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