麗しのヴォルフラム
(アニメ52話の後日談・・・?美しい誤解を妄想。)
城内に咲き溢れる花の香を、素直に心地良いと感じられるようになったのは・・・
いつからだろう。
「なんだ。ここにいたのかコンラート!!ぼくに探させるなんて良い度胸だな!」
末弟は、程よく手入れされた花壇の前に次兄の姿を見つけると、面倒くさそうに駆
け寄ってきた。
「・・・探してくれなんて、頼んでないけど?」
首を傾げてみせると、ヴォルフラムは今にも怒り出しそうな口調で告げた。
「頼まれたってお前なんか探すものか!!ユーリがどうしてもと言うから、その・・・
探してやったんだっ!!」
「はいはい、ありがとうございました」
自分が立ち上がるのを見ると、今気づいたような口調で末弟は其処に目をやる。
「その花・・・」
「ん・・・?」
「花を・・・見ていたのか・・・??」
「・・・あぁ。そうだよ」
いとおしげにその花を見つめる俺の視線に気づいたヴォルフラムは、更に質問を
続けた。
「何か、思い出でもあるのか・・・?」
「・・・気になるのか?」
と聞き返すと、ヴォルフラムはそっぽを向いて、「単なる気まぐれだ!!」と言った
。
「20年前・・・戦地へ赴くとき、この花が上から降ってきたんだ。まるで『いってらっ
しゃい』と言われているような感じがして・・・。変だよな、俺たちを見送ってくれる
物好きなんて、一人もいなかったろうに」
「・・・そうか」と、彼は嬉しさを押し殺すような声で言う。
知っているさ。
あれはお前が降らせてくれたんだ。
「・・・ほら、グズグズするなコンラート!!何の為に僕がここまで来てやったんだと
・・・っ」
「はいはい、今行くよ」
末弟の背中を追うように、コンラートは走り始めた。
――――そうだ。いつだって、お前は俺の宝だった。
そして、これからもずっと。
青の花びらは、未だに俺の心に降り積もる――――
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