泣いて泣いて、泣き止んだら






 朝が来る。
 汚れ無き、紅玉色の陽を浴びて。

 緑を刺し、
 俺を刺し、

 嫌なことを思い出させるなんて、知りもしないで。



 命を懸けて守りたかった者の死を耳にしたのは
 目覚めて少ししてからの事だった。
 包帯に、心も躰もぐるぐる巻きにされ、縛られ
 ただ茫然と、友人の言葉に耳を傾ける。

「だからってお前も死ぬなよ」と戦友は笑って言った。

 死のうが生きようが、そんな事考える余裕なんかない。
 彼女の死を、現実として吸収できない自分の心が歯痒い。

 光は刺して
 友人の出ていった抜け殻の部屋に、明るさをもたらす。
 まるで、
 あの時の、ジュリアのように。
 俺の前で笑っていた彼女を、思い出させる。


 だから、巫女から魂を授けられた時に、もう何も信じられなく
 それが彼女であることすら、わからないまま
 俺は地球へ降り立った。

 もしこれが本当に彼女だとしたら
 今度こそ、本当に『幸せ』になって欲しい。
 いや、
 俺が今度こそ、その『幸せ』を守りたい。

 まだ潤いのない心の俺だけど
 いつかきっと、水を下さると信じて。

「陛下」
「陛下って呼ぶなよ、名付け親っ」

 この『双黒』に、ただ一つの希望を見出したい。

 泣き止んで、腫れた心はまだ目立つけれど
 そっと癒してくれるのは、貴方でありたい。

 貴方の傍らで、微笑んでいたい。


 ジュリア。
 彼は良い『王』になる。




 俺はずっと、彼と共に歩みたいんだ。







最近ハマっているヴィジュアル系バンド『ガゼット』の曲、
『ザクロ型の憂鬱』をイメージした小説です。
コンラートとジュリアは、恋人っていうより"同志"だと思うんですけどね。どうでしょう。
やっぱりこの二人好きだー。

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