初めて、「守りたい」と思うものが出来た日を、思い出す。 母でも兄たち(しゃくだがコンラートも入れておいてやる)でもなく、 他人で。 しかも、最初は殺してやろうかとも思った相手だ。 だが、こんなにも今は愛しくて、 その者のために、血を流す事もいとわない。 そんな自分がいる。 「ユーリ」 「あ?何だよ、ヴォルフ」 心の中で、1・2・3と数えてから、その言葉を口にする。 「もしお前が、どこか遠くへ行こうとも、ぼくだけは付いて行って やるから、安心しろ」 「は?何言っちゃってんだよ。だいたい遠くってドコ?」 「・・・遠くといったら・・・その・・・っ」 「だーかーらー、どこ?」 「・・・ったくこのへなちょこ!!そういうときは『おう。ありがとう』ぐらい 言っておけっ!!」 「おう。ありがとう」 プーの決意、あっけなく粉砕。 だが、ここでめげている場合ではないことを、ヴォルフラムは 知っていた。 何があっても、たとえ『世界』がユーリを嫌っても、 ぼくはお前のそばに居て、守るから。 ―――今、命を賭けて忠誠を誓おう。コメント 戻る